陶芸という芸術は数千年もの間存在し、人類の歴史の発展に影響を与えてきました。陶芸は実用的であると同時に、常に芸術と深く結びついており、古代から様々な文化圏で美しく個性的な陶器が生み出されてきました。
フェデリカ ブバーニは、1981年イタリア ファエンツァに生まれます。中世以来陶器の街として栄えたファエンツァ。ルネサンス期にはイタリア最大のマヨリカ製陶地としてヨーロッパ中に広めたファレンツァの釜、陶工たち。5世紀以上にわたり、陶器はこの地域の経済基盤を支えてきました。そして今日でも この町では国際的に有名な陶芸工房が数多くあり、毎年陶芸フェスティバルが開催されています。
そんな陶芸の伝統を誇るファレンツァで育ったブバ ーニは、自然と陶芸に親しみ、陶芸芸術大学で学び 2003年自身のブランドを立ち上げました。
この豊かな伝統にインスピレーションを受け、当初は主に楽焼技法を用いていた彼女ですが、素材の研究に勤しみ、形状から装飾に至るまで様々なデザイ ンを試行錯誤していきます。
生まれ故郷の伝統を受け継ぎながらも、フェデリカのミニマルで単色の陶芸作品は彫刻的な趣を帯びています。独創的で また丹念に作りだした表面のデザインに、直線や曲線が重なり合うことで繊細な質感を生み出しています。また彼女の作品には、異なる幾何学的な曲線や角張った幾何学的形状のコント ラストが頻繁に取り入れられています。その結果、 調和のとれた落ち着いたデザインが生まれ、その多くは日本の様式や、楽焼技法といった焼成方法を彷彿とさせます。
彼女の作品を見ると、シンプルさ、本質、機能性、 職人技、そして優雅さといった言葉が頭に浮かびます。繊細で手間のかかる陶芸の世界を再発見し、新たな解釈を加えています。